ウィンザースター魔法魔術学校: 謎の魔鏡 第一巻 (上) Kindle版

投稿者: | 2017年5月28日




<概要>
魔法好きな少年ヒロシが、人間界から魔法界へ魔法魔術学校への留学を果たし、不思議な魔法魔術の世界を学びつつ、魔法界を冒険する物語。奇想天外、かつ、類稀なる魔法界の不思議がぎっしりと詰め込まれたファンタジー魔法冒険小説。


『ウィンザースター魔法魔術学校 ――謎の魔境(上)』

加賀美 総善 著

作品の字数:約24万字

ジャンル:ファンタジー魔法 長編小説

<あらすじ>
魔法好きな少年ヒロシはある日、古本屋で謎の魔術書を見つけた。
その謎の魔術書は、『Storm certificate of Magian(ストーム・サティフィケート・オブ・メイジィエン(マギの嵐書)』というなんとも意味深な題名をしていた。
ヒロシは、ラテン語やギリシャ語で記された手の込んだ不思議な書を苦労して解読し、そこに書かれている魔術の秘術を実際にできるか、試みた。

試行錯誤の末にヒロシは、秘術の一つ、魔界と交信する魔術に成功する。ヒロシは、マギの嵐書に書かれた魔法陣を見よう見まねで丁寧に紙の上に描いた。そして、その魔法陣に向かって、マギの嵐書に書かれた通りの呪文を唱えてみた。
「communicatio satus!(コミュニケーショ・サートゥス)交信開始!」
すると魔法陣が淡い閃光を発し、魔術が作動したではないか!紙に描いた魔法陣がほのかに光り輝いたかと思ったその次の瞬間!魔法陣の中央にひとりの少年の姿が突然、浮かび上がった。ノイズ混じりの映像と音声は、ホログラムのようで、魔術の凄さをまざまざとヒロシに見せつけた。
浮かび上がった映像の少年とヒロシは、お互いに交信できたことを喜びあった。少年は魔法界に住んでいると述べた。ヒロシは人間界と魔法界で交信する魔術を成功させたことに気づき、驚嘆し興奮した。
ヒロシは、奇遇にも同い年の魔法界少年ライと人間界と魔法界について、あれこれと紹介し合って、会話を楽しんだ。ヒロシは、ライが語った魔法界のあまりに奇抜な世界に強く興味を惹かれた。一度でいいから魔法界に行って、この目で見てみたいものだと羨望するヒロシに、ライは、一つの提案をした。不思議な力を持つとされる魔法界の鉱石ルーラルトを使えば、魔法界に一瞬で移動することができるというのだ。
時折ノイズが走る立体映像越しにライがルーラルトなる魔鉱石の画像をヒロシに見せた。ヒロシはそのルーラルトの独特の彫刻と色合いに目が行った。そのデザインは、自分の友人カイルの父親が所蔵している骨董品の一つによく似ていることにヒロシは気づいた。
貿易商を営んでいるカイルの父親は、世界中で発掘された古代の品を蒐集するのが趣味であった。
ヒロシは、友人カイルに事情を話して、彼に協力を仰ぎつつ、自身は、ルーラルトを使いこなすためのやり方をマギの嵐書を解読して、得ようとした。このヒロシの思惑にカイル、エリサ、セドルが加わった。
こうして、4人集って、魔界へ行く方法を調べまわることにした。そこに突如として、ヒロシたちの前に現れた怪しげな三人の大人たち。
三人は中年男、若い女、若い男のパーティで、突然、ヒロシたちに襲いかかってきた。お目当ては、予想に反せず、ヒロシたちが持っているルーラルトのそれだった。
怪しげな3人組は、ヒロシたちを捕まえようとペンのように小さく短い棒きれを懐から取り出すと、もう片方の手に小袋をかざした。そして、小袋の中から砂のようなものをサラサラと棒先にかけた。
ヒロシたちが怪訝そうに彼らの行動を見ていると突然、彼らが何やら呪文らしき言葉を唱え出した。
「erupit(エルゥピッテ)!炸裂しろ!」
怪しげな中年の男が一声そう叫ぶと、棒先から淡い閃光が輝いたかと思うと、次の瞬間、ヒロシの近くにあった置き時計が激しく音を立てて粉々に吹っ飛んだ。
ビビるヒロシたちを目にして、歓喜の声を上げる怪し気な中年の男。
身の危険を感じたヒロシたちは、慌てて彼らから逃げ出した。追いかけてくる怪し気な大人たち。ヒロシたちは、逃げ惑ったが、ついには彼らに追い詰められてしまう。

追い詰められたヒロシは、窮鼠猫を噛むが如く、一か八かの賭けに出た。魔法を繰り出すのに手間取る大人三人目掛けて、ヒロシたちは、勇敢にも突撃していった。
ヒロシたちは、まだ11歳の子供ではあったが、みな武術の心得があった。飛び道具に対抗すべく、白兵戦に持ち込んだ方が断然、勝ち目があると踏んでのことであった。
油断しきっていた怪しげな大人たち三人は、ヒロシたちの思わぬ反撃に遭い、あっさりとノックアウトの憂き目を見た。
危機を脱したヒロシたちがお互いの無事を確かめ合っていると、息を吹き返した中年男がヒロシたちの隙を突いて、魔法攻撃を仕掛けてきた。
今度はヒロシたちの方が油断をしていたために、悪者三人衆に呪いの呪文をかけられてしまう。ヒロシたちは、魔法で絞め殺されそうになり、絶体絶命の状態に。
悪者三人衆は、目に見える魔法で苦しむヒロシたちを見て、勝利の雄叫びを上げた。だが、その次の瞬間、ヒロシの体は、不思議な淡い光に包まれ、次第にまばゆく輝きだした
ヒロシは、意識が遠のいていく中で、自分が真っ白な光の中へと包まれていくのを感じていた。徐々に遠退いていく意識の中で、ヒロシは、悪者三人衆が驚愕する声や悲鳴を上げるのを耳にしていた。ついには視界は闇夜に包まれ、ヒロシは気を失ってしまった。
ふと意識を取り戻したヒロシは、自分たちを襲撃した悪者たち三人が、お縄をちょうだいして、警察に連行されていくのを目の当たりにした。

魔法界から派遣されていた魔法警察のアムルストン警部から事件の一部始終について質問を受けるヒロシたち。魔法警察を組織する魔法界の統治政権である魔法政府がこの襲撃事件の収束に向けて、動き出した。
ヒロシたちは、アムルストン警部に連れられて、魔法政府と魔法警察の人間界の拠点となっている施設へと向かった。それは、魔法政府が人間界の政府の協力を得て、人間界の地に作った秘密の地下拠点ジャブルグランツェと呼ばれる施設であった。

ジャブルグランツェには、人間界と魔界とを結ぶ乗り物の発着場もあり、多くの人々が行き交っており、そこはまるで空港のような賑わいを見せていた。
ヒロシたちは、ジャブルグランツェで一通り、事件に関する事情徴収を受けた。
その後、ヒロシたちの活躍が魔法政府より認められて、事件解決に協力をしてくれた功労者として、ヒロシたちへ感謝状が贈られることに。魔法政府は、ジャブルグランツェで盛大な式典を開き、ヒロシたち少年少女たちが勇敢にも魔王軍の残党たちの陰謀を防ぐ功績を上げたことを称賛し、その功績を称えて、感謝状と褒章品を贈ったのであった。魔法警察協力功労章を授賞したヒロシたちは、魔法界へ行くことができる金印パスポートと魔法の小袋を褒賞の品として受け取った。
さらに魔法政府は、ヒロシ、カイル、エリサ、セドルの4人に対して、魔法界にある魔法魔術学校へ留学する許可を与えた。ヒロシたちは、当然喜んだが、彼らの親たちはひどく驚き、心配した。子どもたちを遠くの学校へ留学させることへの不安はもちろんのこと、人間界ではなく、魔界の中にある魔法界の学校へ留学させるという想像もつかないような話に親たちは、戸惑いを隠せなかった。今日に至るまで魔法界なるものが存在するとか、実際に魔法や魔術を使う人々がいることなど現実には存在しないと思っていた親たちが、理解できずに留学の許可を出さないことは、無理もないことであった。

ヒロシたちの親たちの心配を他所に、魔法界は人間界の文明社会を取り込み、革新的な革命の継承を果たし、民主的な現代化を成し遂げた文字通り新世界として生まれ変わったのであった。人間界の革命の精神、民主の精神を輸入し、受け継ぎ、現代化を成し遂げた魔法界は、人間界から見て、人間界の弟分、新天地的存在として位置づけられていた。そのことから、ヒロシたちの親たちもようやく理解を示し、納得して、我が子を魔法界への留学に許可を出したのだった。

魔法政府は、今回の魔王軍の残党たちが、人間界の少年少女を襲撃した事件に強い関心を持った。それはヒロシが特別な魔力を持つ子供であることが判明したからだった。魔界では昔から時代変化の兆しとして、示される存在として、”天啓者”が現るとの言い伝えがあった。魔法政府はヒロシの魔法界留学を重要なミッションの一つとして捉えるようになっていた。
一方、ヒロシは、自分が通う小学校で、自他共に認める学校随一の魔法オタクとして、魔法界へ留学することを諸手を上げて喜んだ。だが、ヒロシの魔法界への留学を阻む事件が次々と起きてしまう。
ヒロシは、魔法政府から派遣されてきた留学生受入担当の任に就いていた魔法政府特使ウッドロゥから、魔法界留学について、色々なアドバイスを受ける。ウッドロゥは毛むくじゃらの大男で、スーツをビシッと着こなしてはいたが、言動は極めて人間界で怪しいものであった。ヒロシは特使のウッドロゥともに魔法界留学を阻む諸問題解決に立ち向かっていくことになる。
果たして、ヒロシは念願かなって、魔法界にある魔法魔術学校へ留学を果たすことができるのであろうか?

<著者紹介>

加賀美 総善(かがみ そうぜん)

1977年福島県福島市生まれ。本名、小笠原裕(おがさわらひろし)。
日本大学 文理学部卒。
日本大学大学院総合社会情報研究科 博士前期課程国際情報専攻修了。
Javaプログラミング(SJC-P)資格保持者。
Linux(LPIC-1)資格保持者。

主な著書に『北湘将門記』『星ヒコの夢物語』シリーズなどがある。